2013年フリースケジュールが始まった当初、「夢をおいかけている人」や「本業だけでは食べていくのが難しい人」を短期で雇用する特別枠がありました。通常はフリースケジュールのパート従業員は副業禁止ですが、特別枠に関しては本業を継続しながら雇用します。
その当時はフリースケジュールとは言っても、出勤日が自由なだけで、出勤退勤時間は固定しており(Aさんは9時~16時、Bさんは10時~15時など)、特別枠の人だけが時間も自由でした。
今となっては全パート従業員が日にちも時間も自由になりましたので大差はないのですが、短期契約、本業継続で働いてもらうので特別枠と位置づけています。
これまでこの特別枠を使用したのはミュージシャン3名、整体師1名、養鶏業1名の合計5名ですからそんなにたくさんの方が利用したわけではありませんし、かれこれ4年以上はこの特別枠は使用されていませんでした。
それを今になってなぜ紹介したかと言いますと、ご察しの通り秘かに復活したからです。ただ念のために書いておきますが、誰でもがこの特別枠に入れるわけではありません。
特別枠に入るには
本契約のパート従業員には会社としての理念であったり、仕事に対するやりがいというものを感じてもらわなくてもいいと思っています。ちょっと言い方を変えると押し付けたくないのです。
もちろん会社としては大事な理念ですし、私自身はやりがいをもって仕事をしています。しかしそれを押し付けるのは経営者のエゴだと思っています。自分で感じ取って共感してくれたら嬉しいなという程度です。それよりも自分の生活や体調を大事にしながら、出勤したときに従業員と争わずに(仲良くする必要はない)一生懸命やってもらえれば満足です。
ですが、特別枠に関しては全く逆の考え方をしています。理念はもちろん生き方や目指す社会や、それにたいして考えていること、行動していることが共感できる方でないと難しいかなと思っています。無理に合わせるのではなく、既に同じ方向を向いて生きてきた人とでも言ったらよいでしょうか。
現在働いている従業員の輪が乱れたり、今後の争いの種を作らないことを大事に考えています。そのためには短期間だけ働く特別枠の人は同じ価値観であったり生き方の人でないと問題が生じてくると考えているのです。
社員とパート従業員を明確に分けて考えるように、特別枠に関しても僕は明確に分けて考えており、それはともに働くみんなが争わずに心地よく平凡にエビ工場での日々を過ごすために必要なことです。
今回特別枠はミュージシャン
今回特別枠で一緒に働くことになったのはラビラビ(ガールズユニット)のボーカル azumiさんです(写真右)。
実は4年前に特別枠を使用してくれた一人でもあります。工場長武藤北斗との付き合いは宮城の頃からなので10年は超えています。
明確に目指しているものを照らし合わせるわけではありませんし、前回の特別枠で働いてもらった後の4年間も頻繁に連絡を取り合っているわけでもありません。
たぶんお互いに意識の片隅に置きながら、今こんなことを考えてるんだとか、こんなことをしているんだとかをSNSで見たり、友人から話を聞いたり、そんな程度だと思います。
それでもお互いに芯がずれていないのは分かりますし、会った瞬間に以前の感覚をフッと思い出せる関係ではあります。
本当にプラスの循環か
今回は2週間の超短期契約。
ぼくたちの働き方はとても変わっていると言われますし、驚かれます。でも実際に働いているぼく達にとってはとても合理的であり、無理のないプラスの循環を生む働き方であり、どんな規模の会社にも業種にも応用できると思っています。
フリースケジュールとか、嫌いな作業をやってはいけないとか、他にもたくさん細々したものがあるけれど、それをどんなふうに感じたか。きっとこの2瞬間という短期間の中でも感じることがたくさんあるのではと思います。
最終日に感想を聞いたり、意見交換をして今後に生かせればと思っています。そして可能ならば皆さんにも発信できればと考えています。
小さな会社の取り組みがうむ力
世の中の風潮は「好きなことを仕事に」「夢を追いかけよう」なのに、それを応援する、支援する取り組みは意外と少ないように思います。だから僕らはこの特別枠を大切に考えていますし、小さな会社の多様な取り組みがうむパワーはとてつもない可能性を秘めていると思います。
会社や社会がよい場や空間になるためには技術とかスピードとか職歴だけではなく、様々な目に見えにくい、感じにくい要素も必要です。特別枠の人にはそこを期待しているという面も実はあります。このエビ工場に新しい風を巻き起こし、すがすがしい空気を感じさせてもらえればと。
ラビラビを知っている人からすると、すごく明るくワイワイの彼女が巻き起こす風を想像するかもしれませんが、そういうことでもないのです。逆に淡々としてもらっている中で、黙々と作業している中で、僕はいろんな風を感じているのです。
さて、既に1週間働いてもらいました。来週末にじっくり話をしてみたいと思っています。楽しみです、皆さんにも何か伝えられればいいなと思っています。
夢物語かもしれないけれど、この世に生まれてきたみんなが平凡に日々を送れるような、好きなことに夢中になれるような、お互いの気持ちを思いやれるようなそんな世の中になればと願いながらパプアニューギニア海産は自分達で考え試しながら歩んでいきます。
最後に。ぜひそんなエビを買って応援してくだしゃい。 → 通販ページ
パプアニューギニア海産・工場長 武藤北斗
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