理念を変えた

 講演会が終わり懇親会も終盤にさしかかったころ、突然正面の男性から告げられました。

 『武藤さんの理念は違うと思いました』

 ちなみに私が講演で話している理念は『家族や友人に食べてもらいたいと思う食べものをつくる』です。

 実のところ、これまで理念というものを意識してなかったのですが、取材や講演会で聞かれることが多く、それならばと私が商品を企画する際に重要に考えていることを理念として紹介していました。

 安全安心、オーガニックなどの耳ざわりのいい言葉よりも『自分の大事な人に食べてもらう』ことを常に意識しています。他業種の方からすると、そんなの当たり前と思われるかもしれませんが、実際はそんなことないんです。何を使っているか、どんな衛生状態か、大量生産の現場をみたら食べたくなくなるものは多い気がしませんか。

 さて話を戻します。

 正直なところ、大切な考え方なんだけど、これが理念なのかよく分かっていませんでした。

 それを見透かすように、懇親会の真っ最中に理念が違うと言われたのです。とても人がよくて、すごく接待上手なこのかたの突然の発言に、思わずドキドキワクワクしながら話の続きを待ちました。

 するとその方はズバッと言い切りました。

『武藤さんの理念は 誰もが働ける社会を作っていくこと』

 確かに。間違いない。

 将来の夢とか今後を聞かれると、特になくていつも困るんです。でも震災以後は普通の毎日がどんなに大切なものかを感じるようになり、大体私が言うのは「平凡な毎日をすごせるようにすること」でした。

 今週紹介してもらった毎日放送『ちちんぷいぷい 』でも言ってました。

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 でもそれは私一人がよければいいわけでなく、大きく考えれば世界中の人たちが、苦しむことなく平凡な日常が送れればいいなと思うわけです。というか、そうでなければ自分の平凡な日々なんてあり得ないとも思います。

 ちょっとデカすぎて、個人的すぎて、会社の理念としては書けなかったのかもしれません。

 そして私はいつも講演の最初にこんなことを言います。

 『今から僕の本心を言うし事実しか話さないけれど、明日も同じことを言ってるとは限りません。僕は自分の言葉にすらとらわれたくない。今日の夜何かあれば明日には言っている事が変わることだってあります。それが人間です。』

 ということで有言実行で、理念を変更します。

 11月6日(金)の13時には『家族や友人に食べてもらいたいと思う食べものを作る』と言っていましたが、11月7日の9時からは私の理念は『誰もが居場所があり、平凡に生きていける社会を作っていくこと』にしようと思います。会社というより、僕個人の理念ですね。会社の理念は保留!!

 とりあえずこれまでの『家族や友人に食べてもらいたいと思う食べものをつくる』に関しては『商品を作る上で最も大切に考えていること』に変更しようかと。そんなことを長野駅の片隅の立ち食い蕎麦屋さんで考えました。

*この投稿は2020年にnoteに投稿したものです。

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