本当に経営者だけが悪いのか

 10月初め、沖縄での連続講座「お金の学校ー貧困とお金と心の問題を、根源から問う」にて話をさせて頂きました。140分の講演から休憩を10分はさんだ後、沖縄大学准教授樋口耕太郎さんと30分の対談。

 あっという間の3時間であり、間違いなくベスト3に入る話しやすさというか、場の空気の良さというか、とにかく会場の200名から私の想いや情熱を根こそぎ引き出された感覚です。

 沖縄の人がすごいのか、この講座に参加している人がすごいのか、樋口さんがすごいのか、正直よくわかりません。とにかく僕にすごいパワーを与えて頂き、ありがとうございました。

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 今回はその沖縄での講演を終えた後に、参加者の方と意見を交わす中で感じたことについて書こうと思います。

私も以前はひどかった

 基本的に私は経営者やリーダーの立場や考えから、どう従業員と一緒に働くのか、会社を経営するのか、生きていくのかなどを発信しています。

 ですからどうしても「上司や経営者はこう考えるべきだ。変わるべきだ。」とさけんでいる強めの印象があります。残念なことに生意気に思われたり、経営者の敵だと思われることもあるようです。講演を聞くまでは。

 働き方を変える前、私は従業員を機械の一部のように思っているひどい経営者でした。ですから、今の日本の働き方がよくないのは、経営者が一方的に悪いとは思えないし、孤独に恐れおののいている部分に同情さえしてしまいます。

誰もが反省する面があるはず

 そんな気持ちをかかえる中で、会社の働き方を本気でかえていくためには、経営者だけでなく従業員一人一人も、自分を見つめ直し、気持ちを切り替えていく必要があると思っています。

 これは会社だけではなくて、親子関係、夫婦関係、地域での繋がりなど、人間関係全てにおいていえることかもしれません。

 僕が見つめ直すというか、お願いしたいのはこの2つです。

「上司や経営者に完璧を求めない」

「一瞬での解決を求めない」

 「人は多様だ」「働き方を柔軟に」と言いながら、上司の多様性や得手不得手などを従業員は考えてくれているでしょうか。経営者はやって当たり前、変えて当たり前、そんな気持ちが言葉や態度に出ていないでしょうか?

 上司だって経営者だって人間です。完璧ではありませんし、今あるものを変えていくというのは、想像以上にパワーが必要で体や心も疲弊していきます。

 それなのにすぐに結果を、しかも完璧な結果を求められたら、きっと心が折れてしまうでしょう。へたをすれば以前よりも威圧的な態度に変わってしまう可能性すらあります。

 ですから、職場をかえていくには強い気持ちをもったリーダーが必要ではあるけれども、それ以上にその現場で働く人達の暖かい心が必要なのだと強く強く認識してほしいのです。

チャンスを育てる

 経営者が働き方について考え始め、何か小さくても改革のチャンスが出てきたとき、ぜひこの「完璧を求めない」という事を意識してください。

 これまでのことを水に流せとは言いません。元に戻らないために、働きやすい職場の種を育てていると思ってください。私の感覚では、この種は一度芽が出ると成長していく速度はとても速いように思います。ほんの少しの辛抱です。

 人間の多様性を大切にする生き方や職場というのは、誰かをせめ、奪い合うのではなく、お互いが与えあう関係にあるのだと思います。そうすることでやっと「従業員がいてくれるからこそ会社は成り立っている」という当たり前のことに気づく経営者が増えてくるはずです。

 簡単なようで難しい。与えあうという事は。でもそこからだと思います。

パプアニューギニア海産・工場長 武藤北斗

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