「私が了解しているから大丈夫」という経営者の勘違い

 従業員に「特別な作業」や「あえてルール外」のことをお願いする際、その依頼をうけた従業員は何を一番心配しているのでしょう。

 例えばですが、工場長との面談が長びいてしまい、休憩時間に5分くいこんでしまったとします。そんな時は休憩を5分ずらし、通常13時に工場に戻る場合は、それが13時5分になります。

 しかし、休憩前にどの作業をしていたかによって、面談が長びいたことを分かっている人と、分かっていない人がいます。

 そんな状態で、1時5分に工場に戻ってきた人を見つけた時、それぞれどう思うでしょうか。

 分かっている人は「あー面談が長びいたから、休憩ずらしたのかなあ」と思うかもしれません。しかし、分かっていない人からすれば、「時間を守らないずるい人だなあ」と見えてしまうでしょう。

 この例は極端かもしれませんが、「自分(経営者)が納得していれば、みんなが納得する」と思っている経営者は意外に多いです。しかし、一部の人が分かっていても、それは納得どころか、争いをうんでいきます。

 後であーなるほどと分かっても駄目です。マイナスの気持ちを持ってしまったことが大きな問題であり、それが積み重なると何が勘違いで何が事実だったかが曖昧にさえなってくるのです。

 更に、このような勘違いや憶測が頻繁におきると、ルールを守ることが馬鹿らしくなります。全員が守っているにも関わらず。

 経営者がよく口にする「会社は了解してるから大丈夫」は従業員にとっては全く大丈夫ではないのです。経営者や工場長ではなく、一緒に働いている従業員同士がどう思っているか、納得しているかの方が実は重要なのです。

 それではいつもの通り、あまりにもシンプルで誰でも思いつく私の対応をご紹介します。

 先ほどの休憩であれば「〇〇さんは面談がのびたので5分遅れてきます」と、他の従業員に先に報告します。

 (やはりあまりにシンプルで芸がない。笑)

 何か特別なことを頼む時は、なるべくみんなの前で「〇〇さん、これはルールとは違うけど、今日だけやっておいてください」とか、「この作業は〇〇さんが終わらせてください」とか全員に聞こえるようにします。

 注意は人前でない方がいい時もありますが、お願いは人前の方がいいと思います。

 経営者だけが納得するのではなく、みんなが納得する。これが争わない職場の一歩であり、チームワークには欠かせないと思います。

パプアニューギニア海産・工場長 武藤北斗

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