教育係は必要なのか

 

 今回はいきなりですが、パプアニューギニア海産に教育係はいません。

 理由はとても簡単で(いつも簡単ですが)、教育係は「偉い」とか「立場が上」とか「会社に一番評価されている」と勘違いされやすいからです。

 教えてもらった際は、感謝というか「ありがとうございます」という気持ちは必要だと思います。しかし、教える人が無条件に上の立場になり続ける必要はありません。ここに時給の差が絡んでくると、いつかパート従業員間の争いがこるのは当然でしょう(時給に関しての考えはこちら)。

 そして教育係がいないことで、たびたび質問されることがあります。

あ

 それは「複数人が教えたら基準がバラバラにならないか」「どの人にあわせればいいか混乱しないか」です。

 いつも私の投稿を読んでいる皆さんは、すでにこの時点で質問に対して違和感を抱いたかもしれません。

 この質問はようするに自分達の会社や工場は「基準がバラバラです」もしくは「基準を守っていません」そしてそれを容認しています、と言っているようなものです。

 やるべきはルールを一本化し守っていくことであって、教える人でつじつま合わせをすることではないのです。

 パプアニューギニア海産はとことん基準を作り、守る。だからみんなで教えたとしても、混乱など一切ない!!! 

 と言いきりたいところですが、もちろんそんなに完璧にはいきません。思った通り完璧であることなんて無理だし、そこにあまり縛られない様にしています。

 悪意なく忘れたり、間違えたり、勘違いしたり、いろんなことはおきます。だからその都度基準を確認し、統一したり、訂正したります。

 実は私の中では基準を「確認・統一・訂正」していく1つのツールとして新人教育を考えている面もあります。

 複数人で教える → 違う点が出てくる → 新人が社員に相談 → 統一・訂正していく。とてもシンプルです。

 ここで重要なのは、誰が間違えているかではなく、あくまでも基準を統一することに専念するということです。そして、新人さんが告口したようにならない配慮が必要不可欠です。

 私が現場で直接みつけて指摘することもできるし(意識していればすぐに見つかるものです)、複数人が間違っていれば全体ミーティングで指摘・訂正してもよいでしょう。これは個人面談の中で出てきた問題点の対応についても同じことがいえます。

 そしてもう一つ注意点があります。それはあなたを教育すること自体がうちでは確認・統一・訂正の手段であることを伝え、そして違うことを教えられた時の対処法も教えておくことです。

 対処法は「その瞬間に教えてもらってる人にあわせなさい」という、またもやいたってシンプルなことです。

 もちろん言われなくても、そうするしかない状況なんです。

 「いや昨日の人はこう言っていた」とか「私はこうやった方がいいと思う」とか入ったばかりの人が言えるわけはないですから。もちろん言える人もいるでしょう。だけど、そこを言うと新人さんの立場が辛いものになっていく可能性は高いし、何よりそれは社員やリーダーの仕事だと思います。

 いかなる状態であっても、その場にあわせている自分を会社やリーダーが許可しているという安心感が必要なのです。いろいろ考え、感じることはあるけれど、とりあえず自分は今教えてもらっている通り作業し、後で相談すればいいのだと思えれば随分と気が楽ではないでしょうか。

 働き始めに理不尽な上下関係ができないようにすること、会社やリーダーに相談できる環境を作ることは、人がやめない現場を作っていくうえでとても重要なことです。教育係があることでその大事な機会を捨てていないか、経営者は確認してみることをお勧めします。

パプアニューギニア海産・工場長 武藤北斗

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