同じことを聞かれても、Aさんにはイライラするけど、Bさんにはイライラしない。そんなことありませんか?
それを意識しながら作業する中で、ちょっと分かってきました。あの人はきっとイライラされるけど、この人はされないなと。
それは作業のスピードや技術ではなく、ましてや年齢、性別、価値観でもありませんでした。
イライラされる人というのは、何度も同じことを聞く人でした。
覚える気がないのは論外なので私が注意します。しかし、経営者やリーダーに注目してもらいたいのは、仕方なく、もしくは罪悪感を覚えながら繰り返し聞いている人も中にはいるということです。
当人の感情としては「心配」なんだと思います。
「これであってたかな?」「間違ってたらどうしよう」
特に出勤日数が少ない人はそうなりがちです。心配になって聞いてしまうのです。しかし聞かれる方は同じようなことをいろんな人に何度も聞かれる場合もあるのでストレスがたまります。
このままだと争いはおこるし、作業ミスにも繋がると感じ、一つ対策をとりました。
それは「人に聞いてはいけないこと」を作ったのです。
計量する際に内容量ピッタリは難しいのでグラム数に幅をもたせます。「殻付ミックスサイズ200g」の場合は203g~206g。幅が4gあります。
しかし、Lサイズはエビが大きくグラム数をあわせずらいので、幅を広げて403g~413gとしています。幅が15gもあります。
そうすると「この商品は206gまでだっけ?、213だっけ?」などと頭が混乱してくるわけです。特に数字が苦手な人にとっては。
苦手だから不安にもなる。そして繰り返し聞いてしまう。
ここで先ほどの「聞いてはいけないこと」が出てきます。
もちろん聞いてはいけないという重圧で覚えさせるということではありません。
今回も単純なことですが、壁に一覧を貼り、そのうえで「内容量の計量幅に関しては、自分で一覧を見る。人に聞いてはいけない」というルールを作りました。
2つが組み合わさっていることがポイントなのです。どちらかではダメです。
ただ表を貼るだけだと、仲の良い人同士は聞き合い、そのことで孤立する人が出てくるきっかけになりそうですし、特定の人だけが見ることになると、見るのは恥ずかしいとか、仕事ができないという感覚・雰囲気が生まれるかもしれません。
長い人でも、慣れた人でも、疲れてるときや久しぶりにやる時などは今でも表を確認します。誰もが同じ条件になるようなルールを作っていくと、争いやイライラやモヤモヤが減っていく気がします。
「心配だから聞きたい」「何度も聞くな」どっちの感情も正論です。だから私はどちらかにたつのではなく、どちらもが納得できる方法を探します。たとえそれでその作業は効率が落ちたとしても、それは気にしません。全体を見るべきです。
そしてもう一つ重要な点として、過剰な気づかいや謙遜はイライラのもとになると思います。もっと自分の気持ちに素直に働いた方が、実はまわりとうまくいくことは多いかもしれません。
パプアニューギニア海産・工場長 武藤北斗