パート長はいらない

 いきなりズバッと言ってしまいますが、パート長という制度は『社員がやるべき仕事をパート従業員に押し付け、社員が楽をするためのもの』と思っています。

 具体的にパート長の仕事ってなんでしょう。

 パートさんの意見を集める、変更点などをみんなに伝える、作業の指示を出す、新人に教えるなどでしょうか。私からするとどれも働きやすい職場を作るための重要なポイントです。これらは毎日出勤することで流れを把握し、決定権が多い社員こそがやるべき仕事ではと思います。

 前に書きましたが、パプアニューギニア海産では『パートさんどうしで指示をしてはいけない』というルールがあります(前記事:指示をしてはいけない)。パート従業員という働き方は、なるべく平等にした方が争いが起きないと思っているからです。

 例えば入社してすぐに先輩のパートさんから『あれやって、これやって』と指示をされるとします。もちろん最初はなんとも思いません。自分は入ったばかりだし、わからないことだらけですから。

 しかし3ヶ月、半年と時間が経過していくと自然と変わってきます。『もう指図しないでほしい』『自分の思うようにやりたい』などの気持ちが出てきても不思議ではありませんし、そこを起点にいろんな問題やすれ違いが起こることは容易に想像できます。

 さらに人には得手不得手がありますから、技術的な面で立場が入れ替わることがあります。そうすると、技術で追い抜かれた先輩が自分の地位を守ろうと、例えば仕事とは関係ないことで力を誇示したりします。

 分かりやすいのは、いじめのようなことを職場内や休憩中に行うなどでしょうか。そんな時に指示できるという立場はとても強く、結果的に有能な新人や実力をつけてきた中堅従業員は辞めていきます。

 逆に新人同士がつながって対抗するなんことも稀にありますが、どちらにせよ従業員が人間関係で苦しんで辞めるような職場は早く改善しないといけません。

 指示を受けること一つでもパート従業員間でこういったやりとりがあります。

 では、これがパート長という存在だとどうなるのか。

 私が思うには、パートさん同士で見れば、やっぱり同じパート従業員なんだと思います。『同じパートなのに』という意識がどうしても生まれてきてしまいます。違う目で見ているのは実は楽をしようとしている社員だけのような気がします。

 そんなわけでパプアニューギニア海産ではパート長は作らず、パートさんの中に教育係すら作っていません。

 最後に、もし『うちのパート長は毎日出勤するし、そういったことも全てうまくやってくれる』というのであれば、今すぐにでも社員にするべきかと思います。

パプアニューギニア海産・工場長 武藤北斗

*2021年1月9日にnoteに投稿したものです

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