先週パート従業員に応募してくれた男性は、第2種知的障がいをもつ方でした。
民間企業で従業員45人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。うちは20人ほどの小さな会社なので、そういう意味では関係のない話です。
ですが採用しました。性格のいい人だったからです。
私が言いたいのは、『国の定めた障害者雇用のルールがあるので彼を雇用した』のではなく、『一緒に働きたいと思った彼がたまたま第2種知的障がいだった』ということです。
これまでどんなことに困ったかを聞くなかで、「あれは難しいかな」と思う作業はありましたが、パプアニューギニア海産では「嫌いなことはやってはいけない」というルールがありますので、もし嫌ならアンケートで「嫌いな作業」にチェックし、やらなければいいだけです。
国のルールだからと嫌々一緒に働くのではなく、片隅で何かやっててではなく、ましてや働かせてやってるなんて気持ちではなく、うちで働いてほしいという気持ちでの採用です。当然同じ時給だし、有給もあります。
知的障がいをもつ方を採用するのは初めてです。
ですが、対話しながらその人にあった進め方・教え方をするだけですから、特に他の人と変わりはありません(実際に今日一緒に働きましたが、その気持ちに変わりはありません)。
いろんな個性をもった人が、障がいを持った人が、生活環境の違う人が一緒に働く職場になってきました。私自身としてはとても居心地がよい工場に思えます。
従業員みんながそう感じられるよう、感じ続けられるよう、チームのリーダーとして気を引き締め直します。
多様なチームや組織は素晴らしいし、心地よい。
でも人間はすぐに争いを始める生き物です。ですからリーダーという役目の人たちは、多様性をいかせるよう最大限の知恵を絞る必要があります。工場長の私にとってとても大切に考えていることです。
そのためにも、とにかく対話が大切。何か意見や不満があるのは人として当然のことで、リーダーがそれをどう捉え対応していくか、その過程を大事にしていきたいと思います。
国が決めたルールとは関係なく、わたしたちは障がいをもった人、今の社会に働きずらさを感じている人とチームとして働いていきます。
だれもが居場所のある、排除されない社会を目指します。
パプアニューギニア海産工場長/武藤北斗
*この文章は2021年2月にnoteへ投稿したものです。