体調が悪くて、でも頑張って、なのに文句はつらいから

 風邪をひいたり、疲れがたまっていたり、体調が悪いけどしかたなく出勤という経験は誰しもあるでしょう。

 だけどパプアニューギニア海産のパート従業員はフリースケジュールだから体調が悪ければ休めばいいだけ。

 と、言いたいところですが、現実はそんなことにはなりません。だってパートさんは時給ですから、働きに行かなければお給料はもらえません。生活費のために、体調が悪くても出勤することもあるでしょう。

 で、私は思ったのです。体調が悪いながらも頑張って出勤、だけどやはり動きは悪く、それがサボっているように見え、文句を言われたり争いの原因になったりしないだろうかと。

*「好きな日に働く」「嫌いな仕事はやってはいけない」など働き方全般に関してはこちら。著書「生きる職場」noteでの試し読みはこちら

 そこで、毎日退勤時間を申請するホワイトボードを活用することにしました。退勤時間に自分のマグネットを貼り付ける際に、体調が良いか悪いかも報告できるようにしたのです。

 縦線を1本ひくだけなので、なんとも安上がりですし、この手の込んでない、気負いのない感じでスタートするのが私は好きです。これならいつでもやめられるし、細かい変更も可能ですしね。

画像1

 で、毎朝体調の報告をすることにどんな意味があるのか。

 実は本人に対しての作業上のメリットはありません。免除される作業やルールなどはなく、いつもと同じように仕事をしなければいけません。

 ではなおさらどんな意味があるのか。それは、

 「体調の良い人が、悪い人にちょっとだけ優しくなれる」

 もし体調が悪いと知らなければ、「あの人、今日はダラダラやってる」「なんかサボってない?」みたいに見えてしまうこともあるでしょう。

 しかしこのボードがあるおかげで「今日は体調悪いんだよな」とちょっと優しくなれるのです。

 些細なことのように思いますが、これからずっと一緒に働く従業員同士の気持ちのやり取りですから、これはとても重要です。人間の本質にふれるような大事なことかなと。

 そして、小さな優しさは連鎖します。自分の体調がよくなった時、今度は自分が優しくなれるはず。それをみている周りもちょっとづつ。

 僕らの工場での一部の取り組み、例えば「サポートはしてはいけない」とか、「忘年会はしない」とか、「休憩もバラバラ」とか説明すると、どうも人情味に欠ける職場だという印象が強くなるようですが、実際は逆のような気もしています。

 自分の気持ちや考えを表明することは、相手の気持ちや考えを聞くことに直結します。そして自分への優しさは、他人への優しさに繋がっていると思います。体調が悪いことへの表明は、実はとても奥が深い、と感じています。

パプアニューギニア海産・工場長 武藤北斗

カテゴリー: ■ ブログ(日々のこと), 工場長また語り始めた パーマリンク

コメントは停止中です。